全面腐食とは、材料の表面の大きな部分を覆う、あるいは露出面全体を覆う、均一の酸化物層をなす腐食のことをいいます。稼働環境にも依りますが、ある種の基材では、密着性に優れた安定した酸化物層または不動態皮膜を形成します。そのような状況では、腐食速度は非常にゆるやかとなります。そうならない基材では、酸化物層があまり安定せず、次から次へと置き換わります。これにより腐食は速く進行し、大きな体積減少が生じます。アブレシブ摩耗あるいはエロージョンが (たとえ軽度にでも) 発生して酸化物層を乱す場合も、同様に進行の速い全面腐食となります。
一般的に予測可能であるため、このタイプの腐食は最も設計が容易です。多くの場合設計者は、構造体が不具合を起こすまでの単位面積あたりの許容限界腐食量、すなわち腐食代を付けて設計します。銅の部材に緑青色など魅力的な色の緑青が形成されることがあります。しかし、ただ放置しておくと、全面腐食は、孔食や隙間腐食などの、より深刻な腐食の形成につながります。